「嫌われる勇気」を得た話〜アドラーが教えてくれた「課題の分離」と「共同体感覚」〜

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あなたは「嫌われる勇気」を持つことができていますか。

特にHSPさんは人の顔色や声色の変化に振り回されることが多く、「嫌われたらどうしよう⋯」と不安を抱えやすいと思います。

私自身も人から嫌われることに対して過度に恐れてしまう過去がありました。

今回は私が一番大切にしている本である『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健著、ダイヤモンド社)から対人関係に疲れた心がフッと軽くなったアドラーの考え方、「課題の分離」と「共同体感覚」をご紹介します。

読み終わる頃には「嫌われる勇気って無理に強くあることじゃないんだ」と少し肩の力が抜けるはずです。

職場で、学校で、対人関係に悩むあなたの心が少しでも和らぎますように。

『嫌われる勇気』との出会い

私がこの本に出会ったのは社会人1年目のときでした。

とにかく分からないことだらけで誰かに尋ねないと仕事ができないという状況の中で、私は特に「分からないことを聞く」ということにとても抵抗感がありました。

「こんなこと聞いたらおかしいと思われるかな」とか「今もしかして機嫌悪い?」とか常に相手の顔色を伺っていました。

結果、仕事をこなすスピードも社会人としての自分自身の成長も遅く、焦る日々⋯。

仕事に、人間関係に疲れたときにふらっと立ち寄った本屋さんで見つけた『嫌われる勇気』。

導かれるように手に取りました。

以前から知ってはいましたが、なぜか読んでこなかった。

こんなにも今の自分の状況に当てはまる本が存在するのかと読みながら驚いたことを今でも覚えています。

次からは私が特に救われた考え方である「課題の分離」についてお話していきます。

「課題の分離」ー自分は自分、他者は他者という考え方

「課題の分離」とは簡単にまとめると、

「自分の課題と他者の課題を切り分け、他者の課題に踏み込まない、自分の課題に踏み込ませない」

という考え方です。

ここでの課題は行動だけでなく、感情も「誰のものか?」と問うことで自分と他者の感情を切り分けて考えることができます。

私自身、相手が機嫌の悪そうなときに話しかけるのがとても苦手でした。

でも課題の分離で考えると、相手の感情は相手のものであり、私がコントロールできることではない

私の課題は「話しかけるかどうかを決めること」、それだけでいい。

そんなふうに考えると複雑に絡み合った糸がほどけるような気がしました。

知識を得ても、すぐには変われなかった過去

「課題の分離」という考え方を知ったときはすごく心が軽くなったのを覚えています。

私は他者じゃないし、他者は私じゃない。だから自分らしく生きよう」そう思えました。

だけど、すぐには実践できませんでした。

頭では分かっていてもどうしても他者の心に入り込もうとする。

しばらく苦しみましたが、会社や日常生活で少しずつ慣らしていきました。

私が行った実践方法として、他者の顔色を伺いすぎて苦しくなったときに「課題の分離」と心の中で唱えるようにしました。

人がどう考え、どう感じるかは自分ではコントロールできないし、それは「相手の課題」です。

自分の中で「課題の分離」と繰り返すことで、「これは誰の課題なのか」を冷静に分析できるようになり、他者の感情まで背負うことが減りました。

課題を仕分けてみると、意外と自分の課題ではない事が多く、他者に入り込みすぎていたことに気がつくと思います。

「課題の分離」は冷たい考え?

常に他者の感情を考えて生きてきたHSPの方にとって、「課題の分離」によって他者の感情を切り分けて考えることは時に「自分勝手なのでは?」と感じることもあると思います。

私自身も最初はそう感じました。

ですが、今ではこの違和感の正体が分かっています。

それは私が他者の領域を尊重し始めたこと、つまり他者を対等な関係であるとみなすことができるようになってきたということを意味しているのだと。

他者の感情を読み取り、自分ごとと考えてしまうこと自体、『嫌われる勇気』の言葉を借りると、いわば他者の家に「土足で上がり込むようなこと」であり、「自分勝手なんだ」と思うようになりました。

でもそうは言っても他者の感情を読み取ってしまうのがHSPです。

相手の感情をなんとなく察してしまっても「これは自分の領域ではない」と境界線を引くことで、過剰に他者の感情を背負うことが減ると思います。

あなたが感じたその「自分勝手かも⋯」という不安感はあなたが他者を本当の意味で尊重し、自分の人生を生き始めたサインだということを忘れないでくださいね。

「課題の分離」の先にある「共同体感覚」

「課題の分離」を意識できるようになると、人間関係がだいぶ楽になってきます。

しかし一方で、他者の課題に介入しないし、自分の課題にも介入させないということに対して「つながりが薄れるようでどこか寂しい⋯」「結局人は孤独に生きるしかないのか⋯」と感じる方もいらっしゃると思います。

特にHSPさんは人とのつながりを大切にされている方が多いと思うので、こんなふうに思うことはごく自然なことだと思います。

アドラー心理学では「課題の分離」は人を孤立へと導く考えではなく、「本当のつながり」を得るための最初の一歩であると考えています。

その「本当のつながり」を意識するために「共同体感覚」を挙げています。

「共同体感覚」について、以下の3つの概念から成り立つとアドラーは言います。

  • 自己受容⋯そのままの自分を受け入れること。
  • 他者信頼⋯無条件に他者を信じること。他者を仲間だと思うこと。
  • 他者貢献⋯他者に貢献し、「誰かの役に立っている」ことを実感すること。

この3つが揃ったとき初めて人は「ここにいてもいい」と感じることができると言います。

自己受容

「自己受容」とは、自分の長所だけでなく、短所もまるごと「これが今の自分だ」と受け入れることです。

何事もポジティブに捉える「自己肯定」とは違い、そのままの自分を受け入れること、これが「自己受容」です。

HSPさんは、自分の敏感さや繊細さを「弱点だ」とは「もっと強くならなきゃ」と責めてしまうことがあるのではないでしょうか。

でも、自己受容はその感性を無理に変えようとしない。「私はこういう人間なんだ」と、まず地に足をつけるところから始まります。

自分を受け入れられてはじめて、他者のことも見えてくる。

自己受容は、残りふたつの概念を支える土台になる考え方です。

他者信頼

「他者信頼」とは無条件に他者を信じ、他者を仲間だと思うことです。

「無条件に」というところがなかなか難しいですよね⋯

私なりの考えですが、最初は「この人は悪い人じゃない」と思えるだけでも十分だと思います。

HSPさんは他者の言葉のトゲや態度、表情などを感じやすい分、また傷ついてしまうことを恐れて心から他者を信頼するということが怖い方もいらっしゃると思います。

でも「この人は悪い人じゃない」という前提があればたとえ自分が思った反応と違ったとしても、受け入れられる気がしませんか?

これは「他者の反応は他者のもの」と「課題の分離」ができているからこそ成り立つのだと思います。

まず、目の前の相手を「悪い人じゃない」と信じてみること、そうすることで過度に他者を恐れることなく深い人間関係を築いていけるのではないかと思います。

他者貢献

「他者貢献」とは「誰かの役に立っている」と実感すること、すなわち「貢献感」を持つということです。

「他者貢献」と聞くと「誰かに尽くさなきゃ」と義務のように感じるかもしれませんが、行為ではなく存在のレベルに焦点を当て、誰かのためになっていると感じることが大切であると書かれています。

そっと寄り添う、誰かのことを気にかける、ただそこにいるー

HSPさんが自然にやっていることの中に貢献はあります。

その貢献を感じられたとき、初めて人は「ここにいてもいいんだ」と感じることができるー

アドラーはこれを幸せの本質だと言いました。

「自己受容」で自分を認め、「他者信頼」で人とつながり、「他者貢献」を忘れない。

この3つが揃った状態、それが「共同体感覚」です。

まとめ

今回は『嫌われる勇気』からアドラーの教えである「課題の分離」と「共同体感覚」についてご紹介しました。

「課題の分離」は決して他者と距離を置く考え方ではありません。

他者の課題は他者のものと区別することで、過度に他者を恐れなくなり、自分も他者も尊重することができるという考え方です。

「課題の分離」は「共同体感覚」への第一歩です。

そして、「共同体感覚」は「自己受容」、「他者信頼」、「他者貢献」からなり、この3つが揃った時に初めて「ここにいてもいいんだ」という所属感を得られ、他者と真のつながりを築くことができるという考え方です。

ここで私が感じたことを一つ。

「他者貢献」ができていれば、たとえ他者から嫌われても「誰かの役には立てた」と実感できる。だから「自己受容」することができる。もしかしてこれが「嫌われる勇気」の本質なのかな、と思いました。

「嫌われる勇気」とは「嫌われても気にしない強いメンタル」のことではなく、「嫌われても揺るがない強さ」を自分の中に持つこと、これを支えるのが「他者貢献」なんだと思います。

誰かに気づかれなくても、「ありがとう」の言葉がなくてもいい。ただ自分が「誰かの役に立てた」と満足しているなら、自分が自分のことを認めてあげられるならそれでいい。

誰かの評価に怯えなくなるから本当に芯を持った強さになるんだと思いました。

そしてもう一つ、「共同体感覚」の素敵なところ。

それは自分のことも、他者のことも大切にする考え方であるところです。

特にHSPさんは他者を優先しすぎて自分のことは後回し⋯という方が多いのではないでしょうか?

自分を大切にすることは決してわがままではなく、「共同体感覚」の中の大事な一部です。

どうか自分のことも他者と同じくらい気にかけて、大事にしてほしいです。

アドラーが教えてくれた「課題の分離」と「共同体感覚」という考えが多くの方に届き、ご自身のことも他者のことも大切にできる世界になればいいなと心から願っています。

参考文献

『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社、2013年

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